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2003年9月 9日

秘境駅でげんきかい

世の中に駅弁は数多くあれど、美味しい駅弁は少ないかもしれない。
首都圏では無粋な「o-bento」なる輸入米の有効活用的な弁当が幅を利かせ始めているものの、やはり旅気分を盛り上げてくれる重要なアイテムだ。

余った青春18切符を処分してしまう旅。
略して「あせじゅきしょた」…あんまりいい略じゃないな。
とにかく、そういう旅に出てきた。
お盆の九州帰省の余りである。
お金が余りないので、貧乏がテーマの旅行でもあった。


八王子から乗った「ホリデービュー快速」は、おじちゃんおばちゃんも含めて大混雑で、しばらく席に座れずにドア横にしゃがみこんでいた程であったが、温泉やらブドウ狩りやらができる駅を過ぎる度に少しづつ席が空いていき、自分らも二階席の窓側をキープできたのであった。
こうなってしまうと、降りがたい。
次の乗り継ぎ列車は甲府始発なので、甲府で下車して席を確保するのがベストなのだが、ええい、ままよとばかりに終点の小淵沢まで乗り通すことにした。
これが幸いした。

小淵沢の駅に入っていくと、右手に大きく「元気甲斐」の文字が。
忘れていた。
宮脇先生お勧めの駅弁である。
そうであったか、小淵沢だったな。とニンマリする。

ホームに降りると、「小淵沢の名物は駅弁です」とやたら威勢のいい看板まである。
その割に「名物・駅そば」なんてのもあって、それはそれで賑わっているのであった。
ひとまず元気甲斐を入手。
貧乏旅アイテム(それは象徴的意味合いもあったのだけど)のコンビニパンで朝ご飯を済ませたばかりだったので、バックにしまいこんで次の電車に乗る。
松本で大糸線に乗り換え。
片側がボックスシート、反対側はロングシートの電車。形としては秋田辺りを走っている電車と同じものだが、こっちはボックスシートがちょっとだけでも設置されているだけマシである。
そこそこ混んでいた。

電車は左手に北アルプスを望みながら、進む。
山あいを進む路線は大概そうであるように、線路脇には川。
おなじみのスキー場の名前が見えたり、遥か山の上には万年雪らしき白いものも見える。
来てみたいな、と思っていたスキー場はあれかな・・・などと見当をつけつつ、窓の外を見るが、残念ながら、ボックスシートは確保できなかったので、あまりじろじろ見ていると向かいの人が気にするかと思い、ちょっと遠慮する。




山越えの区間もドアの小さな窓越しに見る。




小淵沢駅。箸袋なんですな。




名物駅そばに群がる人たち。名物駅弁コーナーも同じく混雑。




青空に長野方面の電車のカラーはよく映えます。




秋田地区の電車と似た電車。帯の色は長野地区カラー。




万年雪らしき白いものが見える北アルプス。




よく見かける彼は、ここでは指差確認中。


南小谷で、ディーゼルカーに乗り換えとなる。
かなり年代物の車両で、窓際のテーブルは木製。もちろん、栓抜きつきであった。

南小谷までは途中にスキー場やらそういった観光施設が点在している関係で電化されている。
スーパーあずさなんかも乗り入れているのだが、ここから先は非電化で、ぐっと、人里離れた感の漂う場所を通っていく。
両側に山が迫り、川とともに走っていく。
対岸には国道らしき道路の落石覆いのコンクリート構造物が見え隠れするものの、どうにも朽ちているようで廃道かと思ってしまう。

車内は18切符を手にしたヲタもたくさん。尋常じゃないデブマニアが、うろちょろするので落ち着かない。
さっきの電車でみた顔もちらほら。

いやな気持ちなりつつも、秘境駅でおなじみの、小滝で下車。
もう一人、降りる人がいたので、心配したが、その人はとっとと駅の外に出ていっていなくなってしまった。一安心。

秘境駅。それは、さまざまな歴史上の経緯や過疎化、はたまた運転上の都合によって設けられた周りにほとんど何も無い駅。
今は、ほとんど利用者が無くてもかつての栄華を極めたころの遺構があったりして、面白い。
最近、話題のジャンルである。

小滝はすぐ近くを国道が走っている関係でまったく秘境という感じではない。
また、周辺には水力発電所が多く、その関係か近くにちょっとした作業所みたいなものがあって、そこには人の気配もある。
もっとも、そこの人も車で通ってくるのだろうが。

そんなわけで、列車が行ってしまうと、静寂である。
聞こえるのは、水の音と、時々国道を走る車の音だけである。
駅員なんかいるわけもなく、他に客もいようはずが無いので、ホームで寝そべってみたりする。

ここでいよいよ、元気甲斐を食す。
京都の料亭の指導を受けただかいう、二段重ねの重は、さほど美味しいというわけではなかったが、冷静に考えるとこれは駅弁である。冷めたものを食べる前提である。
そう考えるとすごい。
いや、おいしいじゃない。
なにより、この風景。
持ち運びのできる弁当だからこそ、こんな環境で食べることも出来るのだ。

一時間ほどして、次の列車がやってきた。
松本方面から来る人が乗り換える、南小谷より手前の途中駅始発の列車である。
案の定、マニアの姿はなく、他に乗っているのはたった一人だけであった。
ちょっと驚いたのは、次の停車駅で、さきほど小滝で降りたもう一人の人が乗り込んできたこと。
歩いてきたのだろうか。
謎の人は、また一駅区間だけ乗車してまた降りていったのであった。

わずかな人数を乗せた列車は糸魚川へと向かう。
今日は、駅寝ではなく、安いビジネスホテルにでも泊ろう。
あてもなく、行き先も決めずに旅立ったものの、だいたい選択肢が限られてきた。




秘境駅に降り立つ、気動車が過ぎると静寂。

逆向きの列車のムービーもどうぞ。




あたりはこんな感じ。




使われてる感じのしない逆サイドの線路。




元気甲斐を食べる。




ホームに横になってみたりして…




同じような列車がガラガラで到着。




栓抜きを使うような飲み物はもう売店とかでは売ってません。懐かしいな。




赤レンガの車庫が迎えてくれると、糸魚川。


 
Posted by waka at 2003年9月 9日 00:28
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