index04:コラム>そろそろ真面目にオリンピアクラスとソーラーカーの未来について語ってみようか。
2009年7月28日

そろそろ真面目にオリンピアクラスとソーラーカーの未来について語ってみようか。

前回はあまりにサラッと書いてしまったので(笑)、ちょっと真面目に。
(参照:そろそろオリンピアクラスについて一言言っとくか)

書きたいことは、次のとおり。

・GMサンレーサーは偉かった
・鈴鹿と秋田、それぞれ違う道
・新しい時代のソーラーカーレースは?

テキストオンリーで書いていきたいと思います。
技術畑の人じゃないので、マチガイ・勘違いはご容赦を。
偉そうに語ってる様に見えたら、 それも最初に謝っておきます。ごめんなさい。

衰退〜GMサンレーサーはえらかった

GMのサンレーサーと言えば、第1回のWSCの優勝車にして、レーシングソーラーカー全ての基本というか、基準となったすごいマシンですね。
サンレーサー以前は、それこそ屋台のようなソーラーカーであったり、あってもソーラーカー「だん吉」みたいなコンバート系が主流だったんだと思う。
音もなく滑るように走る異形のぬめっとしたデザインの不思議なマシン。

それがソーラーカー。

そのイメージは、要するにサンレーサーが作ったものと言っていい。

「光の国のグランプリ」という本で、ホンダの岩田さんがサンレーサーの走りを見たシーンの記述なんかも印象的なんだけど、サンレーサーがあったからこそ、ホンダドリームがあったんだと思う。

そして、ホンダドリームがあったからこそ、日産SunFaverなり、京セラSon of Sunなり、トヨタのRaRa10なりが生まれて、そしてそういう「かっちょいい」「未来的」な「ワークスマシン」と、同じ土俵で戦える。なんなら打ち負かすことが出来る(ZDPさんとか、そうですよね)…それが、最初のソーラーカーのブームだったんだと思う。

それが、今ではワークスが壊滅状態ではあるんだけど、「凄いマシン」と同じ土俵で戦えるという「夢」の部分は「芦屋大学」さんや「大阪産業大学」さんが担ってくれているわけで、それはそれで凄い有り難いことではあるんだけど、やはり「物凄いワークスマシン」と戦えない現状は、新規参入者が減っている理由のひとつなんだと思う。

こういうことを書くと「それは違う」って怒られそうではあるんだけど、ソーラーカーをやっている人は、かなりの割合で「別にソーラーカーじゃなくても良かった」んだと思う。

「自分で作ったマシンで戦える」「ワークスチームと同じ土俵で戦える」「未来的なものだからやってみたい」あたりが楽しくてしょうがなかったんじゃないだろうか。

それがたまたま「ソーラーカー」で「環境にも良さそう」だったから「言い訳」あるいは「大義名分」が立ちやすいってのが大きかったんじゃなかろうか。

「環境に良さそう」だから、お金を出してくれたり、会社が休暇を許してくれたりってこともあったと思う。
そろそろ目新しいものが求められているのだと思うんだけど、それは果たして「オリンピアクラス」なのかはわからない。

少なくてもソーラーカーというもの自体、もう20年くらいあるので、目新しさはもう無いわけ。

一般車の見栄えに近付いていこうという「オリンピアクラス」にどれくらいの魅力があるのかわからないんだけど、「サンレーサー」のような存在のマシンがポンっと出てきたら、意外と流行るのかもしれないし、案外どっかの「ワークスチーム」が出てきたら流行るのかもしれないけど、それはわからない。

現実の車に近付けたが故に、かえってワークスが参入し難いところがあるかもしれない。
いっそ市販車改造クラスの方がマシなのかも。
その辺は、メーカーさんが意思表示してくれるとは思えないのがまた難しいところ。

現状〜鈴鹿と秋田、それぞれ違う道

現状であまりに開催日が近過ぎるってことで、それほど両方にエントリーしているチームは少ないんだけど、秋田と鈴鹿ではレースの性質がだいぶ違う。

すごーーく乱暴に言うと、オーストラリアと秋田は性質が近く、鈴鹿とは違う種類のレースと言ってもいいと思う。

たまたまソーラーカーレースということで車両規定が共通化されていただけで、レースとしては最初から違うものだったんだと思う。

ここでややこしいのは、ギリシャや台湾のレースの存在で、サーキット部分は鈴鹿タイプ、公道部分は秋田・オーストラリアタイプになっているんだけど、今後の主流としてはこのミックス型になっていくのかどうかわからないので、どっち付かずに車を作らなければいけないのもややこしい話。

またまた名前を出してしまって申し訳ないんだけど、今、国内最強と言っていい「芦屋大学」さんは、本来鈴鹿で勝てないマシンだと思うんですよね。いや、異論もあると思うんだけども。

芦屋大学さんのマシンの形状の先祖を辿っていくと、たぶん「スカイブルー早稲田」あたりに行き着くと思う。

あのマシンのコンセプトとしては、これまた間違っているかもしれないんだけど、コーナリング性能はあまり気にせずに直線を巡航することに注力したマシンなんじゃないかと。

要するにオーストラリアで勝てるマシンを狙ってたんだと思う。

んで、これまた「芦屋大学」さんと同じ血統(形状的に)にあると思われる(ここは名前を伏せよう)A大学さんのマシンが幕張のソーラーカーラリーの狭いコースのコーナリングで姿勢を崩してガリガリやっていたり、G大学さんのマシンが96年の能登のソーラーカーラリーでやっぱりコーナリングで姿勢崩してガリガリやっていたところを見てもわかる。

要するに鈴鹿で本来勝ちたいんだったら、エバラさんみたいなマシンでいくか、せめてOSUさんみたいにしなければいけないわけで(OSUさんも重心高そうだけど)、芦屋さんが勝ってしまう状況はちょっと変なのかもしれない。いや、まったくもって失礼な話ではあるんだけども。

純粋に「鈴鹿のレース」を楽しむのであれば、違う形状の違うソーラーカーというのを模索するということも理解できる。

それが、かっこいいのかどうかみたいなところや、プライベーターにとって年に1回の1レースのために、凄いお金かけて作るのかっていうとそれもまた難しいことだと思うし。

だったら、シリーズ戦のエコノムーブに出た方が、いっぱい走れて楽しい!!!という考えもあるかもしれない。

んで、秋田といえば、ここ最近衰退気味であるとも言えるし、新しい挑戦をしているとも言える難しい状態にあると思う。

少子高齢化は、確実にソーラーカー業界にも訪れていて、そういう意味ではもはや3日間…車検から入れると5日間取られる現状では、プライベートチームはなかなか参加できるものではないと思う。
現に、もはや学生チームばっかりという状況といっていい。

なんだったら、車検から合わせて3日間くらいで完結するクラスを作ってもいいんじゃないかと思うくらい。

それにしても、日本の人口重心からみても、形の重心からみても、大きく北にずれているロケーションから、参加者の負担は大きい。

少子高齢化がもっと進んで、お金と時間に余裕のある団塊の世代のリタイア組にアピール出来ると、車検から合わせて5日間のレースでも盛り上がるのかもしれない…とも思うけどもね。

で、秋田といえば、良くも悪くも大らかな雰囲気のレースなわけで、本部も何かと柔軟に対応していると思う。

注目すべきは、ソーラーカーというものの「もう飽きた」ムードを払拭できる可能性のある「燃料電池車」のレースが併催されていることだ。
合わせて「燃料電池とソーラーのハイブリッド」も走っているわけ。

半ば冗談、半ば本気で、いっそ畑で作物作って、そこから水素を作るところからレースしゃおうか…みたいな話題が出てくるあたりが秋田らしいと言える。

その点では、賞典外だけど、なんでもウェルカムなオーストラリアとレースの性質だけじゃなく運営も似ていると言えるんじゃなかろうか。

WSCの2回目にスターリングエンジンのアイシンのマシンが出てたんだけど、同じような車を作ったんだけど…って秋田の主催者に相談したら、賞典外でよければ同時に走ってもいいよって答えが帰ってくるんじゃないかと思う。(たぶん…だけど)

こちらも鈴鹿と似たような感じで「サンレーサー」にあたるようなかっちょいいFCハイブリッド車や(玉川大学さんのマシンももちろん格好良いですよ)、ワークスマシンが出てくると流行るのかもしれないけど、それはわからない。

そして、今回のWSCから「Global Green Challenge」ってなったのは、なんでもウェルカム路線なのかもしれない。
ただ、このなんでもウェルカム路線は、鈴鹿では適用できなそうなのはわかる。
(いろんな意味で)ヤバそうな車、走らせられないでしょう?

未来〜これからの鈴鹿と秋田

で、ここまでの話を踏まえると、鈴鹿は鈴鹿、秋田は秋田でいいんじゃないかとも思う。
もう、違うレースでいいんじゃないかな。

てか、現に、今の段階で、現行のソーラーカーはどこかのタイミングで鈴鹿には出られないようになり、オリンピアクラスを設定していない秋田とは違う道を進む可能性がある。

ただ、オリンピアクラスがWSCで出場出来るようになるはずなので、だとすると秋田でもいずれは出場出来るようになるのだろうけども。
※と、ここでエントリーリストを見たら、今年は芦屋さんはオリンピアクラスのマシンを持ってくるみたい?

どちらにしても、ここまで大きく舵を切ることになった、ソーラーカーのレースは、大きな転換点に来ているのはマチガイない。
そして、その回答の一つがオリンピアクラスなんだと思う。

それが、今一つ、参加者の中でもピンと来ていないのは「かっこいいオリンピアクラス」のマシンを見ていないことや、「そろそろソーラーカーに飽きてきたな」というスポンサーや参加者の空気とあってないのかもねぇ。
もちろん、景気の動向もあるだろうけど。

ところで、鈴鹿に限らず、オーストラリアでもレギュレーションを大きくいじるなら、もはや記録の連続性みたいなところは関係ないわけだから、単純にレギュレーションによって速度を落とすっていう手もあったと思うんだよね。どうだろう?
モータースポーツの最高峰、F1やらSGTでもあまり巧くいってないんだけどね(笑)

例えば「ソーラーパネルは昭和シェルのこれを基準にします、これ以外はダメです。これ以下の性能なら他のでもいいです。」って言われたとして、芦屋さんとか再輝さんとかOSUさんは、せっかくのパネルが!!!と思いながらも、アッパーもう一つ作って付いてきてくれるとおもうんだよねぇ。

あとは、バッテリーの容量を工夫すれば、グッと速度を落とせるはずなんだよね。
現に07年のオーストラリアのレギュレーションから太陽電池の面積は減ってるわけで(速度はダウンしてないみたいだけど)。

ブレインスポーツといわれているソーラーカーレースでは、イコールコンデションの部分が増えたところで、よりエネマネの巧い下手を問われるだけなので、F1やらFポンと違って、むしろ楽しくなるのかもしれない。

オリンピアクラスがなんだかんだ言いつつ、定着するのかもしれないし、それがきっかけでこのレースから足を洗う人が大勢出るかもしれないし、そのあたりはどうやって魅力あるレースにしていくか…だと思う。

だって、今でも鈴鹿はあんなにエントリー台数あるんだもん。勿体ない!!!
本当にオリンピアだけになって、みんな(多くの人が)辞めちゃうの!?
(そして、秋田はエントリー台数少な過ぎ!!!悲しい!!!!)

さて、細かいレギュレーションはともかく、オリンピアクラスには、早くスターマシンが必要なんだと思うけど、はたして、現実路線に近付いたと思われるオリンピアクラスにスターマシンは出てくるんだろうか?
とにかく、かっこいい、シビレる!!!勝てなくても一緒の土俵で戦えるだけでも嬉しい!!!みたいな、スターマシン。

でも、これが答だ!!!っていうのが、まだ無い状態で模索するのは、それはそれで楽しいとは思うんだけどもね。
いずれにしても、非現実的な未来マシンならではの魅力が失われてなければいいんだけども。

そして、秋田は秋田でソーラー&燃料電池ハイブリッド車なり、なにかまた違うタイプの新エネルギー車が走ればいいんじゃないんだろうか?
バイオ水素でもいいじゃない。なんだったら風力でもいいじゃない。
台数少なくなってきたら、なんだったら、バイシクルとエコノムーバーも混走でもいいと思う。
むしろ、そっちが面白そうではある。

結論はこの項の最初に書いた通り「鈴鹿は鈴鹿、秋田は秋田で、もう、違うレースでいいんじゃないかな。」
(ソーラーエネルギーで?)サーキットを早く走るモーター駆動のマシンのレースが鈴鹿で、なんでもいいからクリーンエネルギーで耐久レースをするのが秋田って感じで。

ということで、また、あとで、個別に秋田はどうしたらいいんだろうか?というのを書いてみたいと思う。

参考URL:
2009 Dream Cup ソーラーカーレース鈴鹿
オリンピア狂詩曲
※オリンピアクラスに関する諸々について最も詳しいページです

 
Posted by waka at 2009年7月28日 20:37
TrackBackのURL:

トラックバック (関連の記事が書かれているBLOG一覧です)

コメント

正直に忌憚の無い感想及び意見を書き込みたいと思います。

仰せの通りで”別にソーラーカーじゃなくても良かった”人の一人です。 はい。
そういう意味でよい時代に居られたと痛感してますね。

 まぁ この後の世界に何を期待するかに因るのですが・・・
 革新的技術進歩を望むのか、知名度の高い競技を目指すのか、エントリー台数の多さを望むのか・・・
 確かに企業の参加は上記条件を多く満たす事になりますが、(特に学校やお役所関係者が良く勘違いしてる気がしますが偏見だったらゴメンなさい) 別に企業には金が余っていてその金でPR活動している訳でもないので、参加する企業がメリットを見出せないと参加する とはならないでしょうね。
(それは広告媒体や社員教育 と言う意味でもなんら問題ないのですが) ただ、今のオーガナイザーがその受け皿足りうるかは別問題でしょうね。

 と言う観点からすると市販車を使ってのエコラン的な競技って事になるのかなぁ とも考えたりしますが、こうなるとEV、ハイブリッド、水素、燃料電池といった異種格闘技にしないと競技が成立しないと思われ、 異種格闘技において最も難しいのはルール設定と言われる様に、これらを同じ土俵に載せる事自体が物凄くエネルギーを消費しそうですね。

 普通課でそういうことが望むらくも無かった自分の高校時代を思い出すと、別に高校生が部活で活躍する場はスポーツや文化領域だけでなくてもいいのにね と思う訳で、高校生達にそういう活動の場を提供しているだけでも十分な価値はあると思う訳です。 まぁ 本末転倒で教育そっちのけの先生も多々見受けられこまったちゃんですが・・・
 そんな先生ばかりではなく、こんな小生の想いをキチンと受け止めて下さる先生が居る事もまた事実な訳で。

 今の形態でこれほど継続している大潟の競技 と言うのはそれだけで意味や価値があるとは思うんですけどね。

 まぁ 自分も何時まで行けるかですが・・・ 今年なんかは終了後1000km以上お盆渋滞の中を移動する事を考えると未だにどうしようか・・・ って感じです。 秋田美人の嫁さんでも居れば帰省のついでにってなるんでしょうが(苦笑)

 言葉のアヤでなく本質としての意義を明確にしないとダメなんでしょうかね? 只 具体化するほど Yes/Noがはっきりして表と出るか裏と出るか・・・って所もありますが。

 秋田でやる意味を見出すには秋田の人達が中心で無いと と言う気がします。 だってそうでなければ秋田に拘る理由もなくなりますから。 (その気は全くありませんが)自分に問われたらもてぎで開催する方法を模索してしまいますよね。 安直に現住所に近いから と言うだけではなく。

うーん やおいな文章だ・・・ 失礼。

コメントする

※様々なサイトの登録情報でログインしてコメントすることが出来ます。IDのログイン情報等はこちらのサイトには送信されません。

カテゴリー一覧
最新の10件の記事 新着コメント