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2003年9月12日

富山界隈、行ったり来たり。

「あせじゅきしょた」の続き。
それは何?という方には、過去ログを見ていただくより他は無いと、また言っておく。

今回は2日目。
とある秘境駅に向かうところまで。

翌朝、テキトーに目覚めると、8時頃であった。
例のビジネスホテルでは、ちょっとした朝食がサービスされる。
ふりかけベースのおにぎりとお新香とコーヒーとみそ汁。無料、食べ放題。
決して、嫌いでは無いし、みそ汁が意外とうまくておにぎりも進むんだけど、やっぱりホテルの朝はバイキングだよね、多少高くてもいいからさ。という気持ちもあるので、ちょっと寂しい。

みそ汁で無料おにぎりを流し込みつつ、今日の行程について、悩む。

故宮脇先生のデビュー作は、「時刻表二万キロ」であった。
中央公論で役員まで上り詰め、「どくとるマンボウ航海記」「中公新書」「日本の歴史シリーズ」などを手がけた名編集者の氏が国鉄全線完乗までを綴った名著である。
金曜の夜行で出発して、月曜の朝に東京に帰ってくるあたりは、最近の自分の下道ドライブを見るに影響を受けまくりである。

もはや、赤字ローカル線の廃止などで、国内のJR全線は2万キロを下回ってしまっているが、いつの日か全線完乗を志すかも知れない。
いや、たぶんないと思うけど(笑)。
今やってるのは、国内全ロフト制覇くらいだし(笑)
ああ、既に廃止(閉店)になった、ロフト跡も巡ろうかなぁ。

でも、もしかして、万が一、そんな気持ちになった時のために取りこぼしがあると面倒なので、近場のローカル線乗っとくか、本数の少ないローカル線に乗るのは至難の業だしな・・・などと悩みつつ、方針決定。
ちょっとした裏技を見つけてにんまり。
殺人事件を犯す旅行物サスペンスの犯人の気分になったりして。

ホテルを後にして、改めて、都営バスパクリの地鉄バスの写真を撮ったりつつ、富山駅から富山港線に乗車する。
前出の宮脇氏の時刻表2万キロの中で、ちょっとした乗り間違いでタクシーを飛ばして追いかけたあげく最後の一駅区間だけ乗りのこしてしまった区間である。


しかし私は一計を案じた。さいわい7時17分発の富山行がある。富山着8時14分であるから予定していた8時04分発の富山港線には間に合わないが、終点の岩瀬浜までタクシーをとばせば8時31分に折り返す富山行には乗れそうである。
(中略)
タクシー乗場に客の行列はなく、空車が待っていた。私は幸運を感謝した。
地方のタクシーの運転手は、いつもながら感じがよい。そのかわり焦慮の客を乗せるにはいかにもおっとりとしている。もうひとつてきぱきと走らないように感じられる。もっとも客の側も、「岩瀬浜の駅前まで」と言っただけで、8時31分発に間に合わしてくれとは頼んでいない。
児戯に類した乗車目的は、なるべく人に言わないですませたい。観光地ならともかく、臨港鉄道に沿った殺風景なところを行って戻るだけである。それに、翌日この辺りで他殺体でも発見されたら、「そういえばきのう不審な客を乗せましたよ」と、私の人相風体を警察に届け出るかもしれない。なるべくなら、岩瀬浜の駅付近にもっともらしい所用があるような顔で乗っていたい。
道路は広く車が少ないが、一直線の路上に点々と信号がある。やたらに信号が多い。どんな狭い道路とでも交差するからにはすべて信号機をつけるのが富山県公安委員会の方針なのだろうか。しかも私の乗った車が近づくとふしぎと赤になる。私は地図と時計の針をいらいらしながら見較べていたが、岩瀬浜の二キロ手前で8時28分を過ぎたとき、ついに諦め、東岩瀬の駅で降ろしてくれと告げた。東岩瀬は岩瀬浜の一つ手前の駅で、両駅の間隔はわずか1.1キロに過ぎない。

時刻表二万キロ 宮脇俊三著 角川文庫より引用(ちょっと長すぎたかな?)

富山港線は北陸本線を右手に見て急カーブで市街地につっこんでいった。
元々私鉄の路線だったから、まるで江ノ電にでも乗っているかのような感じである。
この富山港線だが、近々LRT化されるらしい。
JRの路線がLRT化されるのは前例がないが、確かに乗って見ているとそれもありかな、と思う。
江ノ電は厳密に言うとLRTでは無いが、路上を走る区間もある。
広島の路面電車も途中から宮島までの区間は路上から離れ、鉄道区間に乗り入れる。超低床のLRVが活躍している。

そうなると、たぶん鉄道としての富山港線はこれが最後である。
途中途中の渋い駅たちも改築されるだろうし、かつての鉄道貨物全盛時代を偲ばせる引き込み線の後なども一掃されるであろう。目に焼き付ける。
宮脇先生の無念の地、東岩瀬を出ると、あっさり岩瀬浜についた。
折り返しまで15分程度止まる。

駅を出て線路の先を眺めると、まるで廃線跡のようなカーブを描く空き地があった。

帰りは、同じ電車だが、逆側の景色を眺めるべく反対側に座る。
途中で、富山競輪場前駅を通りがかった。
今日は開催日のようである。ババヘラ!?と思ったが、駐車場整理の人である。
まだ早い時間なのにここから乗ってくる人たちはどういう人たちなのだろうか、地元住民なのか、早々に使い果たしたか・・・。
あとで知ったが、この日、富山競輪では、史上最高額や高額配当が続出したらしい。
それだけ荒れたレースだったということだろう。



改めて、朝の富山の市内電車と駅前。


あっ、都営バス(笑)。本物の都営バスを見たことない人はこちら


富山港線は渋いものがいっぱいです。木製電柱、クーッ。


終点岩瀬浜駅。カーブして途切れたレールの先の空き地。気になりません?


建物も渋い。運動会の張り紙も渋い(笑)


近づいてみるとこんな感じ。
奥の新しい道路の曲率まで怪しく見えてくる・・・やっぱ廃線跡か!?


線路端で発見。これは、だいぶ古い電話ボックス再利用ですね。
あ、電話ボックスマニアのページってありそう。今度ググってみよお。


富山駅に戻ると、細君に順番待ちを命じて、切符を買いに走る。
特急ジャンプである。
(青春18切符では特急に乗れないので、乗車券と特急券を買わねばならない)
これは、このあとの展開に重要な意味をもつものである。
もはや、貧乏旅かどうかわからなくなってきた。

ほくほく線経由の越後湯沢行き、はくたか7号に乗る。
直江津までの特急ジャンプ。
富山から鉄道で東京に出るためにはこのルートを使い上越新幹線に乗り継ぐのが最速である。
ほくほく線内では、在来線にもかかわらず160km/h運転をする車両である。
その点、新幹線を名乗る割に、盛岡以降の最高速が130km/h、山あいではもっと遅い「こまち」はなんなのかという気にもなるが、あれはあれで乗換え無しが便利なのだ。

ほくほく線は第3セクターで旧国鉄が建設途中で放棄した路線を開業させたのだ。
JRと同じ特急車両を発注して、相互乗り入れを行うことでこの最速ルートを実現させたが、北陸新幹線が出来てしまうとこの立派な設備も160km/h運転も無用の長物となってしまう。

この日はほくほく線まで行かず、手前で下車であったが、前3両JRの車両、後ろはほくほく線の車両と混色編成であった。こういう使い方をしていたとは知らなかった。

しかし、特急は快適である。
たばこが吸えるのもいい。
もはや、窓も開けられない各駅停車にはあまり旅情はないもんなー。へたすると、ロングシートだし。
と思いつつ、昨日暗い中を各駅停車の地鉄電車で通ったあたりを走り、青空の下の親不知をみつつ、糸魚川を通り過ぎ、11時41分直江津に到着。

11時56分発の糸魚川行に乗り換える。
かつて、昼は座席で特急に、夜はベットにして寝台特急に使っていた電車のお下がりの車両であった。
ボックスシートも一応特急になっていたくらいなので、膝と膝があたらないくらい間隔が広い。
この向かい合わせのシートの座面を引き出すと、線路と平行に寝る形のベットになる。
どうも今でもベットにできるらしいが怒られそうなのでやめておく。
頭上には上の段のベットも畳まれた状態で残っているが、さすがにこれは引き出せなそう。

糸魚川行であるから、上りである。そう、逆送である。
それもこれも、とある秘境駅に行きたかったからである。
普通に富山側から各駅停車でやってきて、途中下車して、次の各駅停車にのってしまうと、この後の行程が厳しくなる。
そこで、直江津まで特急でジャンプしたあと、上り電車で戻って、下車。そのあと、下り電車に乗るという技を使うと、途中下車をする時間を丸々捻出できるのだ。
つまり、特急を使わずに普通に各駅停車に乗って、途中下車をしないまま直江津に着くのと同じ時間に40分ばかり途中下車しても戻ってこれるのである。

そこまでして行きたかった秘境駅。
その名前は、筒石駅である。



特急ジャンプのはくたか。
立体的にはかっこいい造形だけど、表情が緩みきってる感じ。


車内。ほくほく線カラーで赤かな?
JR西日本車は青いシートではないかと、推理する。あとで正解調べよ。


青空のもと、奇麗な海沿いを走っていくのだけど・・・


一番いいあたりは、この有り様。なんとかしてほしかったよ。


前半分、グレーに青帯がJR西日本車、赤帯がほくほく線車。
仕様等々は全て共通です。


直江津から逆送します。


この折戸がまた元寝台っぽいんですよね。


車内はこんな感じ。どうやって寝台になるかは本文参照。

 
Posted by waka at 2003年9月12日 14:05
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