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2003年7月23日

遠くにいくばかりが・・・世田谷線

遠くへ行くばかりが旅ではない。近くでも旅情の味わえるところはあるものだ。とは故・宮脇俊三氏の名言であります。
渋谷への打ち合わせの帰り、ちょっと寄り道してみました。

打ち合わせはわずか10分程度で終わってしまった。
わざわざ片道1時間かけてこれである。ひどいものだ。
とりあえず、渋谷から八王子まで帰らねばならない。八王子へは4路線が乗り入れている。
現実的な選択としては、渋谷からどうにかして、京王線か中央線にたどり着けばいいわけで、井の頭線で明大前乗り換えという線か、山手線で新宿乗り換えというあたりだろう。

打ち合わせ先から渋谷駅まで歩く途中、世田谷線を使ってみようと思い立つ。
JR渋谷でもなく、井の頭線渋谷でもなく、手前の階段をおり、半蔵門線/新玉川線の渋谷へと向かった。
ホームにちょうど止まっていた各駅停車の電車に乗り込む。
このタイプの電車は東急のデザイン暗黒時代の作である。
デザイン暗黒時代というのは、ステンレス製ボディという画期的な構造を編み出した東急車輌であったが、3次曲面が苦手なステンレス車なので、正面と側面がパッキリ90度になっていて、正面は平板になっている車両を連発していた時期のことである。

同様にステンレス構造の車両は例えば井の頭線の車両や山手線の車両もそうなのだが、井の頭線の古い方の車両が先鞭をつけた正面だけはFRPで3次曲面を実現するという選択肢がある。

暗黒東急はコスト増を嫌い、ことごとく正面が平板の車両を連発したのだった。
もちろん、デザイン的にも見るべきものは何もない。
地下鉄乗り入れということを考えると、せめて、ちょっとだけでも角を削るとホーム進入時の列車風がだいぶ違うんですけどねー。などと宣いつつも角々の車両を作り続けたのであった。
今は、FRP全面を取り入れていて、南北線に入ってくる車両とかはマシになっているのだが・・・。


暗黒東急時代の車両。
最近正面床下にスカートがついたようで、少しは表情がしまったかな?

二駅ほど乗車して、三軒茶屋で下車。
そういえば、このあたりの再開発してから、来るのは初めてだったろうか・・・。
駅の案内表示にしたがって、世田谷線乗り場に向かう。
駅のサインシステムは過渡期なのだろうか、矢印等のデザインが統一されていないようで、ちょっと不満に思う。
改札を抜け、長いスロープをキャロットタワー方面に向かう。
しかし、このスロープ。バリアフリーを意識してるのかもしれないけど、冷静に考えるとこんなとこ車椅子で上るのも降りるのもやだなぁ・・・と思う。


ところどころで平坦になって面白いといえば面白そうなコースではある。

キャロットタワー半地下の広場に出たところで、世田谷線乗り場へのサインが無くなる。
そもそも、ここは東急の駅ではなくキャロットタワーなので、サインのルールも変わっている。
先ほどらいの不満がここでいっきに、湧いてきた。
どないしろっちゅーねん。と、とある看板に目が止まる。


まぁ、よくできたサインだけど

この広場において世田谷線乗り場への案内サインは唯一と思うと腹が立つ

んで、柱の陰にコレ。デザインルール完全シカト。
これ考えたやつにサインシステムのモーレツ講義を受講させたい。

さんざ、憤慨ののちにようやく、世田谷線乗り場へたどり着く。
キャロットタワーに合わせて、キレイになっているが、そういえば前回来たときは、大工事中だったっけ・・・と思い出す。当時はまだ木製の床の昔ながらの路面電車といった風情の旧型車しかいなかったが、いつのまにか、最新のLRT風の車両に置き換わっている。


ここはクローズドな路線なので、130円均一で、独自の非接触型ICカードが導入されてたりするんだけど、普通に改札(バス用の料金箱が置いてある)でお金を払って、ホームに入る。


LRT型の車両。色違いで数色在籍しております。

バスのようなアナウンスが流れ、発車。
バスのようなのは座席の配置もそうで、窓に対して直角に座ることができる。
かつてはゴロゴロと旧型車が走った線路を新型の電車はスーーっと走り抜ける。
とはいえ、世田谷の住宅街を縫うように走るさまは昔と変わらず。
山の手の中の下町といった雰囲気が漂う。
初めて乗ったであろう、若者が感心してみている。降り口と乗り口がわかれているのに戸惑いながらも楽しそうである。

若林で環七を越える。
こちらも路面電車風にしばし信号待ち。
実にのどかな電車なのだ。

LRT風車両ということで一応、ホームからノンステップで乗れるのだが、実は、ちょっとズルしていて、ホームを嵩上げしてある。
進行右側の席に座ったので、その嵩上げの様子がよくわかる。



白い部分が嵩上げ部。
また何十年かすると、下と同じような風合いになるのだろう。

宮の坂駅からは、大量の女学生が乗り込んできて車内は満員に。
ホームにも女学生が大量に発生している。その女学生の陰に緑色の車体が見える。あれは、世田谷線の旧型車ではないだろうか。とはいえ、あまりじろじろ見回すと女学生を品定めする変態扱いされるので、グッとこらえる。
女子高生と女子中生だろうが、私立と思われる。茶髪の子はいないものの、スカートの長さだけは今風。
このへんの校則の解釈と、少子化時代の生徒集めの難しさから来る制服への魅力付けの微妙なバランスを感じる。

小田急との連絡駅山下をすぎても車内は満員のまま。
新型車も入ったことだし、車内も盛況なので、世田谷線もしばらく安泰だろう。
とはいえ、かつて、新玉川線も世田谷線のごとく路面電車の玉川線だったのだ。あんまり客が多くても、ありきたりの普通の路線になってしまってはつまらない。
京王線だって、かつては新宿駅から甲州街道の道路上をゴロゴロと走っていたのだ。

松原を過ぎ、大きく左にカーブすると、京王線下高井戸駅に横付けとなって終着。
ここから、明大前まで一駅戻って、いつもの京王線特急に乗り換えである。
ひとときの旅気分もこれにて終了である。

 
Posted by waka at 2003年7月23日 11:53
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コメント

ずるーい・・・


サインシステムは、ちゃんとしてくれないと本当に困ります。迷います。
東京駅構内で迷う私は正しいですか?

東京駅はまだいい方だよ。
みんな慣れてるから気にならないけど、渋谷駅が構造的にサイアクでしょ。
あれ、方向感覚の無い人だと、素直にハチ公前に行けないのでは?

そもそも一番高い場所に地下鉄がってのがおかしい。

渋谷駅は、JRと井の頭線以外は分かりません。

あ、なんかモヤイ像前に行けなくて、渋谷駅を約1周した覚えがあります。はい、反対向きにまわればすぐ着いたはずでした。

例の交差点は渋谷の中でもよく行く地点なので珍しく迷いませんが、たしか、その交差点脇にハチ公がいるんだよね??

http://www.city.yokohama.jp/me/koutuu/info/oshirase/news/1000_jyouto.html

ジアスプロダクツ新社屋はこれでいかが?(笑)

土地を買って、車両を居住空間に作り替えて置く、なんてのはどうですか?

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